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手織りじゅうたん

シルクロードが生んだ、古代遊牧民の文化

手織りじゅうたんは、古代遊牧民の暮らしの中から生まれたと言われています。床に敷き寒さをしのいだり、また装飾用、鞍掛や手網などとしても使われ、とても大切な生活必需品でした。
やがてシルクロードを経て、西はトルコから東はインド、中国まで広がり、それぞれの土地の風習や文化、宗教と強く結び付き、独特のスタイルが華開きました。
いまや世界中の人々に愛されている、手織りじゅうたんは、その一枚一枚に、民族の歴史と心が織り込まれています。

ペルシア

絨毯といえば『ペルシア絨毯』といわれるほど、世界的に揺るぎない評価を受けている手織り絨毯です。19世紀に頂点に達したという繊細で緻密な技法と、洗練されたデザインが特徴。作品にはシルクを使ったものが多く、格式高く高貴な雰囲気が漂います。

◇ナイン
デザインは正統派好みの古典的なものが多く、緻密な文様もイスファハンと似ています。クリームやベージュなどのソフトな色合いと濃紺を組み合わせた特徴ある配色が、ノーブルでエレガントな印象です。

◇タブリーズ
絨毯製作の歴史は古く、原料となるペルシア羊を最も多く産出する地としても有名です。
コーカサス風の幾何学模様や動植物など、デザインの多様さが特徴。機械と見間違うほど整然と緻密な絨毯を織り上げる技術が、写真や絵画のように実写的な絨毯を可能にしています。

◇カシャン
もっとも歴史のある絨毯の産地です。ウール製のものが中心で、花やシャーアッバス文様など、幾何学的にデザインした独自のメダリオンカーペットを形成しています。古典的なデザインパターンを守り続けており、イランの家庭で広く使用されています。

ムガール

インド・パキスタン地方で作られる絨毯の総称で、かつて一帯を支配したムガール帝国に由来しています。織工がターラム(織り順と色を記した表)を読み上げ、同時に複数の織り手が織るという独自の製法で、一結びおよそ5秒の早業で織り上げます。

◇パキスタン
幾何学文様をはじめ、ペルシア絨毯の繊細なデザインの影響を受けたものなど、柄・デザイン共に多岐にわたっています。
ペルシア絨毯より価格がリーズナブルなのも魅力。ウールを使用し、大きな特徴としては特殊な洗浄方法でつやだしする仕上げ方法があります。

◇インド
インド藍の産地「ブァラナシ」を中心に織られるウール絨毯が一般的なほか、インド北部に位置するカシミール地方でで織られる、シルク絨毯が有名です。

ギャッベ

イラン南部の砂漠と草原に住む遊牧民の手で一つ一つ織られるギャッベ。産地から見るとペルシア絨毯のバリエーションといえます。毛足が長く、手織りならではのボリューム感のあるテクスチャーが特徴です。長い道のりを移動する際に目にする広大な草原や大地、太陽をはじめ、共に生きる子馬やらくだなど生活すべてを描いています。

中国段通

中国段通は精巧で気品に冨み、実用性にもすぐれた伝統工芸品です。600色以上の色に染められた中国羊毛を織り上げたうえに、カービングと呼ばれる浮き彫り方法や、ぼかし技法が特徴。世界最高のボリューム感があり、親・子・孫の三世代まで使える耐久性を備えています。光沢のあるシルクや温かみのあるウールが主な素材です。
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